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2010年6月21日月曜日

ITジャーナリスト 佐々木俊尚氏 講演会@ジュンク堂書店


6/19(土)の午後、ジュンク堂書店にておこなわれたDiscover21出版による、「電子書籍の衝撃」刊行記念、ITジャーナリストの佐々木俊尚氏講演会に参加してきた。

iPadやKindleなどの電子書籍を読める端末が日本にも上陸して、これから出版業界や本の世界はどうなっていくのか、またインターネットのソーシャルメディア上で、どう情報が共有していくのか、プロジェクターを駆使しながら分かりやすく解説してくれた。
まず、スクリーンに映しだされたのは大きな機械だった。
名前を「EspressoBookMachine」(エスプレッソブックマシーン)といい、価格が75000〜95000ドルするという。
インターネットに接続されており、グーグルのグーグルエディションによってだれでも本が製本できるという優れものだ。
300ページの本を4分以下で印刷する。300ページの本なら1600円ぐらいで作ることができる。

現状の出版には膨大なコストがかかるが、今後こうしたマシーンやインターネットのデジタル配信によって劇的にコストが下がることになるだろうと予想した上で、何が大事で必要になってくるのか、話がつづいた。
これからは、コンテナが重要である。コンテナとはデジタル配信のことでコンテンツは、本の中身のこと。
昔から今も本の中身は不変である。

粘土板→パピルス→竹簡→紙→iPad
写本→印刷→ネット配信

上のように変化しているが、これは何千年にまだ2回目の変化にすぎないということらしい。
この変化の流れにうまく乗れるのか、否かで今後の出版は大きく左右される。
コストがかからなくなるということは、セルフパブリッシングが容易にできるということだ。
すでにアマゾンなどでは、デジタルテキストプラットフォームを提供してだれでもキンドルで読める本を出版できる環境を構築している。
残念ながらキンドルはまだ日本語版がでてないが、佐々木氏によると、8月くらいに発売するらしい。
崩壊しつつある日本の出版業界、はたして出版文化も崩壊してしまうのか。
そんなことはないと佐々木氏は断言する。
確かに雑誌だけの出版社や、文芸誌などの出版社はヤバいだろう。
大手も本当にいい作品を探せるのかその選択眼が優れているのか疑問だ。

デジタル配信は本をフラット化し、ソーシャルメディアに接続する。
古い本も新しい本もフラットに並ぶことの素晴らしさ。
音楽の聴かれかたが変わったように本の読まれかたも変化するだろう。もしくは多様化か。
東京の中目黒にある松浦弥太郎氏が経営する「COWBOOKS」のような、すてきな本のセレクトショップもふえてきている。
インターネットの書評ブログも細分化しており、多種多様な文脈から背景事情を知ることができ、読書への誘導となっている。
これは、これまでのマスコミ(新聞、雑誌、テレビなど)がおおきな川で上流から一方的に情報が下流に流れてきていた。
今は、縦横無尽に走る水流があり、水たまりや沼が無数に存在する状況だ。
ビオトープ(生息域)が変化したということだ。
これにより、情報は人を軸として流れることになる。
マスメディア経由から情報を仕入れず、人を経由して仕入れるようにシフトする。
情報の真偽はその情報を流す人の評判に担保される。ソーシャルメディアの力がますます強くなることを意味する。

どういう人がその役割を担うのか、それは、インターネット上の情報を収集、選別、意味付け
そして共有することのできるひと。Curation(キュレーション)=キュレーターという。

膨大な情報のなかから選別する作業のほうが大事でいかに的確にキュレーションするかにかかっている。

コンテキスト消費はストック=蓄積
          フロー=流れ
論考分析する作業とストックする作業で世界観が形成されていく。

web=フロー
本=ストック


膨大な量のなかで、フラットに配置される電子書籍時代がすぐそこまできている。

そして電子書籍は、新たな知の世界を開くことだろう。




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