2009年11月30日月曜日
五感
2009年11月28日土曜日
Today's Lunch
阪急六甲駅周辺を朝から散歩した。ランチに使う材料を途中でみつけた地元のショップで購入する。サンドイッチにしようと決めたので、まずはMETZGEREI KUSUDA(メツゲライ・クスダ)六甲道店でロースハムをゲット。カマンベールチーズで有名なチーズショップはお休みだったのでチーズはあるものでOK。酒屋ではドイツのホットワインを購入した。
僕らをつなぐもの 最終回
僕らをつなぐもの 8
プロポーズ
僕はまだMeguに正式にプロポーズしていなかった。ちょうどその頃イン
ターネットでは「ツイッター」というミニブログのようなサービスが流行し
始めていた。僕たちもさっそくこのツイッターを使い出した。
ツイッターは百四十文字以内でただつぶやくだけのものだが、その影響力
は有名人や企業などにも波及していてミクシィやアメブロも似たようなサー
ビスをやり始めたぐらいだ。
季節は冬の始まりを感じる寒さになってきていた。僕は今日こそMeguに
プロポーズしようとこころに決めていた。そしてまずはツイッターで公開プ
ロポーズだ。
「おれはめぐのそばで、君がどんなおばあちゃんになるかみてみたい。そ
のために2倍でも3倍でもがんばる。結婚してください」
Meguが返事を返してくる。
「正直いってあたしは大変だよ。わがままだし。性格きついし。それにつ
きあえるならぜひ」
他のユーザーたちの祝福の書きこみが殺到した。
つづいてフォトシェアでも同じようにプロポーズした。
Meguは
「でも、ツイッターじゃないほううがよかったなああああ。」と書きこん
でいた。
その日は両方とも、祝福のコメントの嵐が夜遅くまで続いた。僕たちは、
Meguの家の近所にある小さなレストランで晩ご飯を食べようとでかけた。
もちろん面と向かってきちんとプロポーズするために。
「Koh、あのね、子供ができたら男の子でも女の子でもいいからつけたい
名前があるの」
「なんだい」
「にこ」
「えっ、にこ」
「そう、にこちゃん」
「なんでその名前がいいの?」
「スマイルマークみたいにいつもニコニコしてほしいから」
「そうかあ。にこかあ」
Meguの提案で子供の名前はにこになりそうだ。
「去年のクリスマスは一人で今年は3人だね」
「そうか、3人か」
暖かい店内のごちそうに僕たちはお腹いっぱいになっていた。
「ごちそうさま」
店を出ると少し早い雪がちらついていた。
「あっ、雪だ」
「ほんとだね」
「Megu帰ろう」
「うん」
僕らをつないでいるもの
僕には守るべきふたつの命がある。めぐとにこだ。
新しい命とともに三人でこれから歩んでいく人生。
ひとつひとつゆっくりと踏みしめながら進んでいくだろう。
僕らをつなぐもの
それは家族の絆へと変わった。
2009年11月26日木曜日
BAR Hemingway
2009年11月24日火曜日
プロフェッショナル
2009年11月23日月曜日
僕らをつなぐもの 7
大切なもの
僕はMeguを傷つけたばかりか男として責任をとれないでもがいていた。
なんとかしなければ、僕はとにかくMeguにもう一度会って話をしよう
と試みた。
Meguはシングルマザーになる決意をブログにアップしていた。僕たち
のことには一切触れずに、母親になることを心から望んでいることをその
ブログには綴っていた。
ところがフォトシェアでは事情が違った。周りのユーザーが僕たちのこ
とを心配して、たくさんのコメントをよせてきたのだ。
「MeguたんとKohくん、どうしちゃったの?」Yossy
「Kohくん、Meguちゃんのこと大切にしなきゃだめだよ」Cana
「男ならMeguちゃんのこと離すなよ」jin
「Meguちゃん、Kohくんのことキライになっちゃったの、違うよね」mayu
とにかく僕たちを応援してくれるようなコメントの嵐に正直目頭が熱く
なった。僕の気持ちを後押ししてくれたのは言うまでもない。
数日後、Meguの家に行った。
「Megu、俺だよ。開けてくれないか。ちゃんと話がしたいんだ」
しばらく沈黙の時間が流れた。するとドアがガチャッと開いた。
「入って」
Meguが僕を部屋に入れてくれた。
「最初にMeguに謝りたい。俺が悪かった」
「そのことはもういいの。ただ私はKohの気持ちが分からなくなったから」
「目が覚めたんだ。みんなに励まされて俺にはMeguが必要だって・・・」
「もう私一人だけの問題じゃないよ」
「分かってる。子供のことも」
「大変なんだよ、育てるのって」
「Meguのことも子供のことも大切にしたい、ちゃんとしたいんだ」
「私の仕事のことも?」
「ああ、手伝うよ。Meguの仕事も続けられるように俺がなんとかする」
「Kohにできるかな」
「なんとでもするよ」
「私、フォトシェアでコメントしてくれたみんなにこころが救われたよ」
「俺もだよ」
「絶対にもう二度と裏切らないって約束できる?」
「誓う、ここに」
そう言って胸のあたりを手でおさえた。
「私と子供と家族を大切にしてくれる?」
「もちろんするさ」
本気でそう思った。僕はMeguと子供のことをすべてにおいて大切にして
いきたい。こころにかたく誓った。
「許してくれるの?」
Meguは泣きながらコクリとうなずき、そっと手をのばしてきた。僕は
その手を強く握りしめた。
僕とMeguは小さなアプリケーションのおかげでこうして再びやりなおす
ことができた。
甲山
紅葉の季節も佳境に入った時期、二十何年かぶりに地元の山である甲山(かぶとやま・標高309m)に登った。
2009年11月15日日曜日
サイドウェイズ
2009年11月14日土曜日
僕らをつなぐもの 6
こころの傷
目が覚めると、自宅のベットの上にいた。頭が割れるように痛い。二日
酔いのようだ。飲み過ぎたな。そう思って起きようとすると、人の気配を
感じた。
狭いキッチンのところに誰か立っている。誰だろう。まだ夢をみてるの
か、頰をパンとたたいた。どうやら夢ではない。
「あら、起きたの?」
そこにいたのはKaoriだった。
「あの、俺、昨日酔っぱらってて・・・」
「Kohさんだいぶ飲んでいたみたいね。大丈夫?」
「えっあっうん、ここは俺の家だよな。君がいるってことは俺昨日・・・」
「お酒に酔った勢いでってとかなしにしてね・・・フフ」
「あっ君は確かテーゼで声をかけてきた・・・」
「Kaoriよ、名前忘れてない?」
「いや、そんなことは・・・」
「はい、コーヒー。冷蔵庫に何も入ってないわね、何もつくれないから
コーヒーだけとりあえずいれたわ」
「あっありがとう」
僕はようやく事の大きさに気づいた。説明しなければ、いやどうしよう。
「彼女、いるんでしょ」
「えっ」
「分かるわよ、そのくらい」
「あの、俺」
「別にいいのよ、私は」
なんでこうもドライでいられるのか僕には理解できなかった。昨日の印
象とは別人のKaoriがそこにいた。
「私、帰るわね」
「俺、君に」
「お互い様っていうことで」
「え?」
そう言うとさっさとKaoriは出て行った。しばらくあぜんとしていた。
Kaoriが出て行った後、iPhoneを手にとって見てみると、Meguからの
メールが何件もはいっていた。俺はなにをやってるんだ。激しい自己嫌悪
に胸が痛んだ。
Meguに電話をかける。何度も呼び出し音は鳴るが、でない。留守電に
切り替わった。もう一度かけるが同じだ。メールしてみても返信されない。
僕はMeguに気づかれたかもしれないと思った。もうこうなった以上正
直に言って謝るしかないと自分にいいきかせた。その日は結局Meguに連
絡がとれなかった。
翌日、Meguは実家に帰っていたことが分かった。後で会う約束をする。
そして僕たちは恵比寿にある小さな公園のベンチにいた。
「Megu、何度も連絡くれたのに返事しなくてごめん」
「何かあったの?」
「いや、そういうわけじゃないけど」
「Koh、様子がヘンだよ」
「えっ」
「なんかいつもと違うよ」
「そうかな」
「なんか、私に言えないことでもあるの?」
「そっそんなのないよ」
とっさにでたコトバに嘘がでてしまった。
「ウソはいやっ! Kohおかしいもん、ぜったい」
「・・・・・・」
Meguの瞳に大粒の涙があふれ、こぼれ落ちた。
「ごめん、俺酒に酔っぱらって行きずりの女と・・・」
「Kohのバカ、信じてたのに」
その場に泣き崩れるMeguにどんなコトバをかけていいのか分からなか
った。ただ謝るしかなかった。
「私、今日はKohに大事な話をしようと思ってきたのに・・・」
「大事な話って?」
「もういい、もういいよ」
女がきりだす大事な話はたいていの場合、別れ話かもしくは妊娠、ニン
シン? ほんとに?
「たのむよ、Meguっ、話してくれないか」
「Koh、私とずっと一緒にいたいって言ってたのに・・・私、私・・・」
「Megu、まさかその・・・」
僕はMeguの目をまっすぐ見つめた。Meguは赤い目をこすりながら静
かにコクリとうなずいた。
「そうなの?」
「母に相談しに行ってたの。一緒に産婦人科へ行ってもらって。2ヶ月
だって・・・」
「俺、知らなくて・・・」
「もういいよ、私、一人で育てる!」
「そんなっ・・・」
頭が真っ白になるってこいうことをいうんだなと思った。と同時に鈍器
で後頭部をおもいっきり殴られたような衝撃が走った。
「一人にして」
そう言うとMeguはその場から立ち去った。
僕はしばらく公園のベンチに座ったまま動けなかった。ため息を何度も
何度もついていた。
大切なものを僕は失いかけていた。
2009年11月10日火曜日
西天満4丁目
今日のランチ
2009年11月9日月曜日
2009年11月8日日曜日
僕らをつなぐもの 5
ずれた時間
あまりにもうまくいきすぎている気がしていた。ただMeguのまっすぐ
な気持ちに圧倒されていたのかもしれない。僕は甘えていたと思う。そし
て人生の決断をせまられることになろうとはその時はまだ分からなかった。
僕はデザインコンペで最終選考まで残ることができた。明日勝負が決定
する。社内の誰もが今回のおまえは違うぞと言ってくれた。だがもう一人
の人はいつも採用されているベテランだ。勝てる見込みは無いに等しい。
翌日、担当上司から名前を呼ばれたのはやはりベテランの先輩だった。
さすがに疲れてデスクでぐったりしていたらその先輩から声をかけられ
た。おまえの作品を見て今回は正直あせったと。次はおまえだな・・・と。
少しホッとして気持ちが楽になった。
その日の夜、一人で西麻布のバーテーゼへ飲みにでかけた。この界隈は
僕が夜の遊び場として頻繁に通っているところだ。Meguとはあまり一緒
にこない。バーテンダーでモデルの仕事もやっているTussyがカウンター
にいた。このテーゼは、ブックバーと名乗っているとおり可動式の本棚が
備え付けており、たくさんのかっこいい本が揃っている。
「こんばんわ、Kohさん。元気ですか?」
「Tussyもあいかわらず、元気そうだね。ジムには通ってるのかい」
「今、減量中です。来週から撮影なのであと3キロ落とそうとがんばっ
てます」
「すごいね。よくやるよ。俺はぜったい無理だな」
「Kohさん、何します?」
「そうだな、じゃあストーンローゼスのジンジャー割り」
「わかりました」
生の生姜をすりおろしていれているこのカクテルはすっきりしていて、
疲れている時によく注文する。
その夜は調子がよかったのか、かなりの量を飲んでいた。完全に酔って
いた。
「Kohさん、さっきからあの人がずっとKohさんのこと見てますよ」
Tussyに言われてカウンターの端を見ると、確かにこっちを向いている
二十代半ばか後半ぐらいの女性がいた。
「Kohさんになにか言いたげですよ。どうします?」
「どうするって?」
「ちょっといってきます」
「ちょっ、Tussyまてよっ」
なかば強引にTussyに会話をもっていかれたので僕はあせった。すると
自分のグラスを持って僕の横にその女性は座った。
「こんばんわ」
「あっこんばんわ」
「私、Kaoriっていいます」
「Kohです。ここにはよく飲みに来るの?」
「たまに。雰囲気が好きだから」
「僕も本が好きなんで・・・仕事は何をしてるの?」
「お茶の水でベネチアングラスのショップの店員してます」
「そうなんだ。僕はデザイナーです。渋谷で働いてます」
お互いの自己紹介の会話がつづいて、趣味や好きな音楽や映画の話で盛
り上がった。
「Kohさん、素敵ですね」
「そんなこと言われると照れるよ」
「でも私、タイプかも」
Tussyは気を使ってカウンターの端へ移動していた。すっと膝の上に彼
女の手がすべるように触れてきた。僕はドキっとしながらもその手をとっ
ていた。もはや本能にさからうことができない状態になっていた。
テーゼを出てそのままホテルへ直行していた。僕はMeguを裏切ってし
まった。