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2009年11月23日月曜日

僕らをつなぐもの  7

大切なもの


 僕はMeguを傷つけたばかりか男として責任をとれないでもがいていた。 

 なんとかしなければ、僕はとにかくMeguにもう一度会って話をしよう

と試みた。

 Meguはシングルマザーになる決意をブログにアップしていた。僕たち

のことには一切触れずに、母親になることを心から望んでいることをその

ブログには綴っていた。

 ところがフォトシェアでは事情が違った。周りのユーザーが僕たちのこ

とを心配して、たくさんのコメントをよせてきたのだ。


 「MeguたんとKohくん、どうしちゃったの?」Yossy

 「Kohくん、Meguちゃんのこと大切にしなきゃだめだよ」Cana

 「男ならMeguちゃんのこと離すなよ」jin

 「Meguちゃん、Kohくんのことキライになっちゃったの、違うよね」mayu


 とにかく僕たちを応援してくれるようなコメントの嵐に正直目頭が熱く

なった。僕の気持ちを後押ししてくれたのは言うまでもない。

 数日後、Meguの家に行った。

 「Megu、俺だよ。開けてくれないか。ちゃんと話がしたいんだ」

 しばらく沈黙の時間が流れた。するとドアがガチャッと開いた。

 「入って」

 Meguが僕を部屋に入れてくれた。

 「最初にMeguに謝りたい。俺が悪かった」

 「そのことはもういいの。ただ私はKohの気持ちが分からなくなったから」

 「目が覚めたんだ。みんなに励まされて俺にはMeguが必要だって・・・」

 「もう私一人だけの問題じゃないよ」

 「分かってる。子供のことも」

 「大変なんだよ、育てるのって」

 「Meguのことも子供のことも大切にしたい、ちゃんとしたいんだ」

 「私の仕事のことも?」

 「ああ、手伝うよ。Meguの仕事も続けられるように俺がなんとかする」

 「Kohにできるかな」

 「なんとでもするよ」

 「私、フォトシェアでコメントしてくれたみんなにこころが救われたよ」

 「俺もだよ」

 「絶対にもう二度と裏切らないって約束できる?」

 「誓う、ここに」

 そう言って胸のあたりを手でおさえた。

 「私と子供と家族を大切にしてくれる?」

 「もちろんするさ」

 本気でそう思った。僕はMeguと子供のことをすべてにおいて大切にして

いきたい。こころにかたく誓った。

 「許してくれるの?」

 Meguは泣きながらコクリとうなずき、そっと手をのばしてきた。僕は

その手を強く握りしめた。

 僕とMeguは小さなアプリケーションのおかげでこうして再びやりなおす

ことができた。

   

 


 


 


 



                

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