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2009年11月28日土曜日

僕らをつなぐもの  8


 プロポーズ


 僕はまだMeguに正式にプロポーズしていなかった。ちょうどその頃イン

ターネットでは「ツイッター」というミニブログのようなサービスが流行し

始めていた。僕たちもさっそくこのツイッターを使い出した。

 ツイッターは百四十文字以内でただつぶやくだけのものだが、その影響力

は有名人や企業などにも波及していてミクシィやアメブロも似たようなサー

ビスをやり始めたぐらいだ。

 季節は冬の始まりを感じる寒さになってきていた。僕は今日こそMeguに

プロポーズしようとこころに決めていた。そしてまずはツイッターで公開プ

ロポーズだ。

 「おれはめぐのそばで、君がどんなおばあちゃんになるかみてみたい。そ

のために2倍でも3倍でもがんばる。結婚してください」

 Meguが返事を返してくる。

 「正直いってあたしは大変だよ。わがままだし。性格きついし。それにつ

きあえるならぜひ」

 他のユーザーたちの祝福の書きこみが殺到した。

 つづいてフォトシェアでも同じようにプロポーズした。

 Meguは

 「でも、ツイッターじゃないほううがよかったなああああ。」と書きこん

でいた。

 その日は両方とも、祝福のコメントの嵐が夜遅くまで続いた。僕たちは、

 Meguの家の近所にある小さなレストランで晩ご飯を食べようとでかけた。

もちろん面と向かってきちんとプロポーズするために。

 「Koh、あのね、子供ができたら男の子でも女の子でもいいからつけたい

名前があるの」

 「なんだい」

 「にこ」

 「えっ、にこ」

 「そう、にこちゃん」

 「なんでその名前がいいの?」

 「スマイルマークみたいにいつもニコニコしてほしいから」

 「そうかあ。にこかあ」

 Meguの提案で子供の名前はにこになりそうだ。

 「去年のクリスマスは一人で今年は3人だね」

 「そうか、3人か」

 暖かい店内のごちそうに僕たちはお腹いっぱいになっていた。

 「ごちそうさま」

 店を出ると少し早い雪がちらついていた。

 「あっ、雪だ」

 「ほんとだね」

 「Megu帰ろう」

 「うん」



 僕らをつないでいるもの


 僕には守るべきふたつの命がある。めぐとにこだ。

 新しい命とともに三人でこれから歩んでいく人生。

 ひとつひとつゆっくりと踏みしめながら進んでいくだろう。

 

 僕らをつなぐもの

 それは家族の絆へと変わった。

 


 


 



                                           

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